できないことばかり探すんじゃなくて、できることをやろう
静岡県を中心に二番茶の生産をやめる生産者が出ています。茶業関係者の一番のかきいれどきといえば、4月中から5月の新茶シーズンです。しかし今年の新茶シーズンは新型コロナウイルスの影響が重なり、弊社も含め静岡茶関係者は大きな打撃を受けました。
静岡県内の茶農家さんは苦渋の決断を迫られました。静岡市清水区のある生産者さんでは、1962年に設立して以来、初めて二番茶の生産をやめることを決めました。これは年々お茶の取引価格が安くなっているうえ、コロナ過で問屋・小売店からの注文も激減し、生産コストの方が高くなってしまうからです。
「地元の商店街で、知り合いのお茶屋さんのおばあちゃんからお店も大変だって聞いて...。私たちのよさこいのテーマはお茶。自分たちが踊って注目を集めることで、少しでも元気づけたい」
と立ち上がったのは、静岡大のよさこいサークル「お茶ノ子祭々」の皆さんです。10月1日配信のスポーツ報知の記事をご覧ください。
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茶畑で「恩返し」よさこい...静岡大「お茶ノ子祭々」
10/1(木) 13:37配信
静岡大のよさこいサークル「お茶ノ子祭々」12代目メンバーが、県内の茶畑を巡って製作したプロモーション動画を11月15日に公開する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国大会が中止になるなどほぼ活動ができなくなるなか「地域の活性化に役立てないか」と活動を模索。半年がかりで準備を続けてきた。
3月中旬に浜松で開催予定だった全日本よさこい学生選手権が中止。「2つ上の先輩たちが優勝し、目標にしてきたので、ショックが大きかった」と曲統括の原口和輝さん(教育学部3年)。50あった出演予定イベント全てが中止。休校で練習もできず、80人近いメンバーは「目の前が真っ暗になった」と空中分解寸前だった。
そのなか、声を上げたのが振り統括の籠谷遥さん(地域創造学環3年)。3歳から地元の富士市でよさこいを踊り、サークルに入りたくて入学した。「地元の商店街で、知り合いのお茶屋さんのおばあちゃんからお店も大変だって聞いて...。私たちのよさこいのテーマはお茶。自分たちが踊って注目を集めることで、少しでも元気づけたい」
茶農家を訪れて、よさこいを踊り、静岡茶のプロモーション映像を作成して配信する―。前例のない取り組みに「就職に切り替えたい」「自己満足じゃないか」と異論も出たが、背中を押したのは、趣旨に賛同した静岡市のある経営者の一言だった。「できないことばかり探すんじゃなくて、できることをやろう」。移動車の提供や運転、知り合いの映像関係者にドローン撮影も掛け合ってくれた。
7月7日、最初の撮影は藤枝にある静大農学部の茶畑。両河内や掛川、富士など6か所で農家の話を聞き、よさこいを踊り「100時間以上ある映像を編集するのが大変です」(原口さん)。目標はYouTubeで1000万回再生。サークルでお茶をテーマにしたのは、7年ぶりとなる。「茶幸歌(さこうか)」を合言葉に掲げた12代目。困難な状況を切り開き、「関わってくれた人たちへの恩返しを」と一つの花を咲かせようとしている。
報知新聞社
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茶業界の一人として、大変励まされる記事ですね。人間年を重ねるとともに無難な道を選びがちです。賢くなっているという見方もできるし、挑戦心を失っているという見方もできます。このコロナ過において無難な道(中止や延期)を選ぶのはとても簡単です。誰からも怒られることもありません。
一方で、お茶ノ子祭々の皆さんのように、挑戦の道を選ぶのは簡単ではありません。批判や反対意見が必ず出ます。それでも批判を乗り越え、何かをやり遂げた後には必ず得るものがあります。もし私が彼らの親なら、きっと無難な道より挑戦の道を後押しするでしょう。
私は現在48歳です。社会の仕組みもなんとなくわかってきて、気が付けば無難な道のど真ん中を歩いていました。お恥ずかしい限りです。しかし、若い人たちの挑戦している姿に触れて「このままではいかん」と、今一度自分のケツに鞭を打つ時が来たと感じています。
11月15日の動画公開が楽しみです。
株式会社さがみ園
菊地原敦史